今年度(2024年度)、M&Aに関連して外国(台湾)の会社が日本の株式会社に出資した結果として、外国人(台湾)の方(台湾に居住されている方であり、日本に住所はない方)が、この日本の株式会社の役員に就任される登記を当事務所で受任し、先日無事に完了しました。
株式会社の役員になる方については、就任の登記申請時に、役員個人の運転免許証の写し・マイナンバーカードの写し・住民票・印鑑証明書などの公的書類が必要となります。(日本で印鑑登録されていればそれで可能ですが、今回は台湾に居住されている方でしたので、不可でした。)
当たり前ですが、外国人の方の公的書類を発行するのは、日本の行政機関ではなく、外国・地域の行政機関(今回は台湾の行政機関)となりますので、その公的書類は、①その国・地域の言語(今回は台湾の言語)で、②その国の公的機関の責任者のサイン又は一部の国ではこの責任者の押印で発行される書類となります。
今回、幸いにも、台湾に関しては、①台湾の行政機関が発行した公的書類(役員個人の印鑑証明書)の原本と②その日本語訳を添付すれば、日本の法務局で受け付けてくれるとのことで、当事務所で日本語訳を作成して法務局に提出し、無事に登記が完了しました。
ただし、台湾に関しては、正式にこの①及び②のみで良いという日本の法務局の通達はありませんので、法務局によって取扱が異なるようです。従って、具体的な案件に関しては、その登記を所管する日本の法務局に必ずご確認ください。
本来、「これが外国の行政機関が発行した公的書類です!」とポンと、日本の役所に提出されても、日本の役所ではそれが正式な公的書類か全く分かりません。
そのため、基本的には、公的書類に対する外国の行政機関の責任者の署名又は押印が正式なものであることを証明する手続きが必要です。(認証事務と呼ばれるもので、割愛しますが、大使館に行く必要がある場合があるなどかなり面倒です。)
例外的に、台湾に関しては、以前東京の司法書士の先生が尽力してくれたおかげで、多くの法務局でこの認証事務なしに、台湾の行政機関発行の公的書類をそのまま提出すれば日本の法務局は受け付けてくれます(日本語訳は必要ですが)。
当事務所がある九州では、熊本で台湾の世界的な半導体企業TSMCが工場を稼働していますので、今後台湾とのビジネスの交流が拡大していくことと思われます。
以上、ご参考まででした。